1903年に発足したメジャーリーグは以前に比べれば下火とはいえ、まだまだUCASでは人気のスポーツ…のはず。
だってパワフルメジャーリーグってゲームが毎年発売されているくらいなんだから。
当然僕は毎年買ってプレイしている。
確かにベースボールは第六世界に完全に適応したとは言い切れない。
トロールのストライクゾーンは大き過ぎて簡単に三振が取れてしまうし(まぁトロールのベースボールプレイヤーなんて見かけないんだけどね。トロールのプロ選手がみたいならプロレスとかアーバンブロウルを見に行けば良い)ドワーフはストライクゾーンが小さすぎて簡単に一塁へと行けてしまう(その後その短い脚で二塁まで行けるかは別の問題だけど…おっと、種族差別発言じゃないよ)
シアトルに住んでる僕はパワメジャ(パワフルメジャーリーグのことだ)ではシアトルマリナーズで何度もワールドシリーズ出場を果たしていたんだけど現実世界のシアトルマリナーズとはいうと…メジャーリーグ発足以来167年間アメリカンリーグですら優勝したことが無かったんだ。
でも2070年のシアトルはベースボールファンにとって忘れられない年となっていた。
何しろあのマリナーズがリーグ優勝を果たし!
ワールドシリーズに出場していたからだ!
僕も最初の頃はついにパワメジャのやりすぎでVRと現実の区別がつかなくなったのかな?
と少し心配しちゃったくらいに奇跡的な出来事で…
ただ、この奇跡はシアトルマリナーズに彗星のように現れた一人のエースのおかげであるということは恐らく誰も反論しないだろう。
“魔術師”ルーブ・マーティン。
シアトルマリナーズ監督のカール・シーガルがどこからともなくスカウトしてきたピッチャー。
この何の実績も無い右投右打のヒューマンの投手がサイドスローからまるで魔法のように曲がるシンカー(これが魔術師の由来だ)を投げるエースとは恐らくスカウトしてきたカール監督すら知らなかったのではないだろうか。
防御率0.7を叩き出しメジャーの記録を大きく塗り替えたルーブのおかげでシアトルマリナーズは167年かけてようやくアメリカンリーグで優勝。
ワールドシリーズでナショナルリーグ覇者のサンフランシスコ・ジャイアンツと優勝をかけて争う事となった。
来年のパワメジャが出たらさっそくうちのエースとして鍛えなくちゃ!
今から発売が楽しみだ。
しかしシアトルマリナーズは所詮ルーブ・マーティン一人のチーム。
長いシリーズを戦ってきて息切れしないわけがない。
「おい!アーク!!聞いてるのか?」
当然それを解っているマリナーズでは上手にルーブを温存してこのワールドシリーズに挑んだはずだった…
僕が監督でもそうする。